3回目の診察

3回目の診察は、検査の結果報告と診断になりました。

MIBG心筋シンチグラフィ検査には異常がありませんでした。パーキンソン病の初期では心臓の交感神経に障害が出ていないことはよくあるようです。

つまり、身体のハード面には異常はないということです(実際は脳内の中脳黒質に異常があるわけですが)。

パーキンソン病の主症状である、1.振戦(ふるえ、特に静止時)、2.筋固縮(手足がかたく動きにくい)、3.無動(動作がのろくなる)、4.姿勢反射異常(バランスが悪くなる、バランスが取れなくなる)のうち、このときは、振戦だけが顕著でしたので、パーキンソン病とは診断できず、様子をみることにしましょう。ということになりました。

ただ、療法として

・パーキンソン病の進行を抑える薬はない。

・薬を飲んでも振戦を完全に止めることは困難。

・パーキンソン病で直接死ぬことはない。天寿を全うするケースも多い。

・いろいろな薬によって症状を改善し、生活していくこととなるが、用い方のガイドラインが2002年と2011年で一部変更になっている。

・進行を含め、非常に個人差のある病気である。

パーキンソン病は進行していく難病であり、その進行を止める薬は未だ開発されていないという事実は、残りの人生をその進行に怯えながら過ごさざるを得ないということであり、暗澹たる気持ちになりました。

しかも、薬を飲んでも振戦を止めることができない(完全にという意味)となるとこの病気にどのように向き合っていけばよいのかわからなくなりました。

パーキンソン病といえば、私の世代では元世界ヘビー級チャンピオンのモハメド・アリが不自由な身体でテレビに出ていた映像を覚えていますし、自分もいずれあのようになるのという恐怖しかありませんでした。それがいつなのかもわからないということも病気に立ち向かう気持ちを萎えさせる大きな理由です。

母を見ていると、パーキンソン病で直接死ぬことがなくても、確実に身体が動かなくなっていくことは事実ですし、それまでに新しい治療法が発明されると呑気に考えることはできない自分がいます。

個人差の大きい病であり、何らかの手を打つことによって進行を遅らせることができないのか、その模索が続くこととなりました。


2回目の診察

2回目の診察では、MIBG心筋シンチグラフィ検査を受けました。

これは、パーキンソン病では進行に応じて心臓の交感神経に障害が生じることが多いことから、放射性医薬品を静脈に注射し、心臓の交感神経の損傷具合を特殊なカメラで画像化、視覚化し、その状態を診るものです。

撮影自体には時間が掛からないのですが、午前と午後の2回検査をするので殆ど1日かかる検査でした。事前にこれほど時間がかかると聞いていなかったので、本でも持って来ればよかったかなと呑気に思ったのを覚えています。

しかも、この検査は健康保険適用になったばかりでしたが、3万円ほどかかり、これも聞いていなかったので、クレジットカードで払う羽目になりました。結果は3回目の診察時に分かるということで、2回目の診察は終わりました。

 


自分の身体に何が起こっているのか?

調べなきゃと、いろいろネット検索した結果、年齢や症状からパーキンソン病ではないかと疑いました。80歳近い母がパーキンソン病で長く治療を受けており、病院へも付き添いで何度も行っていたので神経内科が該当することはわかっていました。

近所の掛かりつけ医に相談し、医大の専門医に紹介状を書いてもらい、予約を取って診察に行くことにしました。

1回目の診察は、脳ドッグで撮ったMRI画像データを持参し、一般的な血液検査や肺のレントゲンなどと問診で終わりました。

この時点で担当医(神経内科部長・主任教授)とのやり取りでわかったことは、今の症状・時点ではパーキンソン病であると診断することは容易ではないということでした。つまり、

・手がふるえる病気はいろいろある。

・加齢によることもある。

・よく似た症状の病気にパーキンソン病症候群がある。

・いまの病状が更に進行しないと判断できない。

・パーキンソン病の薬を飲んで症状が改善すれば、パーキンソン病の可能性がある。

と言われたのです。