パーキンソン病 iPS細胞

NHK BS-1で3日放送された「山中伸弥教授が語るiPS細胞研究の今」をパーキンソン病の方はかなり期待して見たのではないでしょうか。わたしもかなり期待して見た一人ですが、なかなか難しいものだなというのが見終わった後の感想でした。

去年には、今年から治験が始まるなどの報道もありましたが、番組では、京都大学iPS細胞研究所副所長の高橋淳教授(一昨年、加齢黄斑変性の治療にiPS細胞を初めて用いた高橋政代先生の夫)は、自分自身としては有効性、安全性のデータが固まってきたと思う、ドーパミンを出す神経細胞約500万個を脳に注射で移植する計画。ラットでは移植後4カ月で効果が確認済み、カニクイザルでも移植したドーパミン細胞が定着、症状が改善している。いろいろな動物を試した結果、いわゆるこれまでがん化あるいは悪性化して腫瘍ができた事例はない。この治療を人に応用するための大きな壁は、移植する細胞の中に神経細胞以外の未分化の細胞が混じっているとがん化などのリスクが高くなる。これをセルソーターという装置によってドーパミンを出す神経細胞を選別(セルソーティング)し、純度を限りなく100%に近づけ、がん化のリスクを下げ、細胞移植の安全性を高めることができるようになったと考えている。新しい医療技術などの審査機関の医薬品医療機器総合機構(PMDA)に昨年10月に研究の進め方について臨床応用に進むためにどのようなデータが必要か助言を受けた。いよいよ始まったなという感じ、話が具体的になったのはいいと思う。パーキンソン病のために寝たきりになる人を一人でも少なくしたい、最終的にはゼロにしたいというのが願い。国の承認を得ることによって保険が使えるよう登録された細胞移植治療をより広く世の中に届けるというのが目的、ゴールです。

次に、山中教授の話。課題は、加齢黄斑変性とは違い、網膜の場合は目なので外からアクセスし易い、いつでも観察でき、万が一変な副作用等が起こったらレーザー等でその細胞を除去するなど対応がし易い。パーキンソン病は脳の深い所に細胞移植する必要があるので移植そのもののリスクが高い、そして移植した後に何が起こっているか外からわからない、移植する細胞の数も目に移植する数と比べものにならないくらい多い。そのリスクをこの8年間にずうっと準備を進めてこられたわけですから当然ゼロにはならないわけですが、かなりどんどん小さくなっていますのでいよいよ人への応用が視野に入ってきた。いま実際に人への移植が目前になってきますともう私たちだけでは意思決定できません。実際に移植するのは病院、京大病院でありますし、移植にゴーサインを出す、厚生労働省やPMDAと充分に連携しながら相談しながら今進めていますのでやはり時間はこれまでに比べると相当かかりますし、慎重にならざる得ない、と思います。

つまり、技術的にはかなりの問題は解決されて、後は役所次第ということでしょうか?

許認可に時間の掛かる日本の役所仕事ですから、患者としては少しでも早く対応してもらいたいと願う次第です。