パーキンソン病とムクナ豆

パーキンソン病の薬の副作用に苦しみ、何か他に方法がないのかとネット検索を進めるうちにムクナ豆(八丁豆)の存在を知りました。

ムクナ豆は天然のL-ドーパを含んでおり、インドの民間療法であるアーユルベーダにも用いられているという古くからある食材とのことです。

ムクナ豆の振興を進めているムクナ会( http://mucuna.jp/index.html)があり、利用振興と栽培や使用方法の詳細や講習などが行われているようです。

調べていくと、このムクナ豆を使ってパーキンソン病と闘っている方 (http://blogs.yahoo.co.jp/mbkjg707/folder/1049999.html) のブログも参考になり、こんな方法があるのかととても力になりました。

早速、ムクナ豆をネットで購入して説明書きに従って圧力鍋で水で煮ると汁が黒くなって豆が煮あがりました。豆の大きさは2-3cmくらいで味は特徴があるわけでもなく、えぐみもなく想像していたよりも食べやすいものです。L-ドーパは水に溶けやすく、熱に弱いので厳密には調理時間を短くすることが必要とのことです。

1回に3粒程度を目安にして食しますが、黒い汁にもドーパミンが含まれているのでこれも飲むといいといわれています。食べる量やタイミングは個人で調整する必要があるので、少量から始めて様子を見ます。

タッパーウェアに1日分10粒程度を入れて仕事に出かけます。

仕事中に3回、つまり2時間半に1回の割合で3粒程度食すとある程度振戦が抑えられることがわかりました。

頭痛や吐き気もありませんし、特に気になる体調変化はありませんでした。単なる豆という食材ですから当然といえばそうなんですが。出るとすればアレルギー症状かなと思っていましたが、それも出ませんでした。

秋口から初めて冬の間もこの方法で何とか過ごすことができ、薬も殆ど飲まない状況が続きました。

この方法でなんとか過ごせればよいのにと思う日々でした。


診察その後 ドパミンアゴニスト2

急遽、1カ月後に変更した診察で、ビ・シフロールの副作用と思われる、眠けと頭痛について相談しました。ネット検索では突発性睡眠による交通事故の報告があり、吐き気とともによくある副作用のようです。

主治医は副作用も個人差が大きく、出ない人もあるし、いろいろな副作用が出る人もあるので、エフピーでも副作用の出る人もあり、飲み続けることによって副作用が落ち着く人もいるとのことでしたが、続けて飲むには仕事を辞めなければ無理だなというのが本音でした。

同じ系統のドパミンアゴニストでメーカーが異なるレキップを試すこととなりました。

人によってはビ・シフロールはだめでもレキップは飲める人がいるとの勧めからでした。今回は1カ月分の処方にしてもらいました。

レキップの副作用はメーカーのHPに安全性の項目で載っており、承認時までの調査症例336例中194例(57.7%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告され、その主なものは、 傾眠51例(15.2%)、幻覚46例(13.7%)、悪心40例(11.9%)でした(承認時)。

傾眠とは意識障害(意識混濁)の程度のひとつ。周囲からの刺激があれば覚醒するが、すぐに意識が混濁する状態。 場所と時間がわからなくなったり、直前の出来事の記憶がないことがあること。悪心とは嘔吐に先行するむかつきのことで、眠くなったり、幻覚を見たり、むかむかするということです。

ビ・シフロールと同じように、仕事休みの土曜日の朝食後にエフピー1錠、レキップ1錠を飲みました。

やはり1時間もたたないうちに少し眠くなり、横になるとそのまま少し眠ってしまい、目が覚めて意識はあるのですが、身体が怠く、頭がボォーとしてゴロゴロしている状態が一日続きました。翌週も仕事休みに試してみましたが同じような状態でした。

ビ・シフロール、レキップともに最初一日1錠から始めてその後適量まで増やす方法が示されています。また、レキップは就寝前に飲むことが指示されています。レキップでこの方法も試しましたが、翌朝起きられないという事態になり、これも難しいなぁというところです。

結局、これ以上、この薬を試す気がなくなりました。


診察その後 ドパミンアゴニスト1

その後、2-3カ月に1度の割合で診察を受けてきました。

特に何かを検査するわけでもなく、年に1度、血液検査を受けるのと、診察では右手、右腕、右足の硬化具合と歩行不良を診てもらうぐらいで、後は病状の進行報告と対処方法について話を聞くことになります。

去年、発病3年目で振戦が増えたことと身体が固くなる固縮が進行しているように思ったので薬について相談しました。

主治医もそろそろドパミンアゴニストを試してもいいかもしれないというので、ドパミン受容体刺激薬、つまり、ドパミンを受け取る側の受容体を刺激して、ドパミンが分泌されたときのような反応を起こす、女王ライクな偽薬です。麦角系と非麦角系があるそうですが、麦角系は心臓に重篤な副作用が出ることがあり、非麦角系のビ・シフロールを2カ月分処方してもらい、エフピー錠と併用して試すこととしました。

副作用のことを考えて、仕事休みの土曜日の朝食後にエフピー1錠、ビ・シフロール1錠を飲みました。

1時間もたたないうちに少し眠くなり、横になるとそのまま2時間ほど眠ってしまいました。起きられなかったというほうが正しい症状でした。

翌日の日曜日も同様に試しましたが、同じように急に眠くなり、起きられない状態で、しかも軽い頭痛が一日中取れないという、なんとも苦しい状態で、とても飲み続けることはできないなと思いました。仕事が始まる月曜日は元に戻してエフピー錠だけにしましたが、まだ軽い頭痛は残っていました。

2カ月後の診察予定を早め、翌月に診察に行くことにしました。


3回目の診察 続き

3回目の診察で薬を飲むことにしました。

昔は、パーキンソン病初期では薬を飲まないという選択もあったようですが、今は適切に薬を飲む方が経過がよいという判断になっているようです。

エフピーOD錠2.5mgという薬で、パーキンソン病の進行を少しでも抑えるかもしれないと主治医がいうので1日1錠朝食後に呑むことにしました。振戦の緩和はあまり期待できないかもしれないとのことでした。ODは口の中で溶ける意味で、水なしで飲めます。

飲むタイミングは身体の反応を見て変えてもよいとのこと。副作用が出る場合があるので、その反応も注意が必要とのことでした。

家に帰り、エフピー錠についていろいろネット検索しました。

パーキンソン病の薬については、L-ドーパ製剤が王様だということ、そのほかに家来や従者、女王ライクなものがあることがわかりました。

パーキンソン病が、脳内の中脳黒質の異変により、神経伝達物質のドーパミン(医学・医療用語:ドパミン)が減り、運動機能に障害が生じる病気であることから、症状の緩和にドパミンを薬によって補うということは単純明快です。

しかし、身体の構造・機能からこのドパミンを直接、脳内に届けることができないため、ドパミンに変わるL-ドーパ製剤を飲むことになります。

L-ドーパ製剤(薬名例: マドパー、ネオドパストン、メネシット、ECドパール等)は、1960年代から使われている歴史のある薬で、長期服用により、効果を発揮しにくくなることや不随意運動(ジスキネジア等)が発生することがわかっているため、薬としては最後の選択枝であり、L-ドーパ製剤が効きにくくなって更にジスキネジア等が頻発すると外科手術などの極めて限られた方法しか選択肢がなくなってしまうとのことです。

ですから、L-ドーパ製剤は王様で出番は最後ということになります。

脳の中では中脳黒質からドパミンが放出され、それを受容体が受け、不要なものは酵素によって分解、廃棄されることが繰り返されているわけです。このシステムに着目して、L-ドーパ製剤と同様の効果が得られるであろうドパミンアゴニストと呼ばれる様々な薬(言い方は変だけど偽薬)が開発され、単独で薬効があったり、併用してL-ドーパ製剤自体の量を減らす、効果を高める、持続時間を増やすなど、体系的には6種類の薬が出ていますし、更に開発も進められているようです。

つまり、最初はこれらの偽薬で進めていくことになるということです。

エフピー錠は、ドパミン分解抑制薬(MAO-B阻害薬))で、L-ドーパ製剤と併用し、ドパミンを分解する酵素の働きを抑えることで薬効を長持ちさせることが目的の薬です。

まずは、家来の薬からスタートです。


3回目の診察

3回目の診察は、検査の結果報告と診断になりました。

MIBG心筋シンチグラフィ検査には異常がありませんでした。パーキンソン病の初期では心臓の交感神経に障害が出ていないことはよくあるようです。

つまり、身体のハード面には異常はないということです(実際は脳内の中脳黒質に異常があるわけですが)。

パーキンソン病の主症状である、1.振戦(ふるえ、特に静止時)、2.筋固縮(手足がかたく動きにくい)、3.無動(動作がのろくなる)、4.姿勢反射異常(バランスが悪くなる、バランスが取れなくなる)のうち、このときは、振戦だけが顕著でしたので、パーキンソン病とは診断できず、様子をみることにしましょう。ということになりました。

ただ、療法として

・パーキンソン病の進行を抑える薬はない。

・薬を飲んでも振戦を完全に止めることは困難。

・パーキンソン病で直接死ぬことはない。天寿を全うするケースも多い。

・いろいろな薬によって症状を改善し、生活していくこととなるが、用い方のガイドラインが2002年と2011年で一部変更になっている。

・進行を含め、非常に個人差のある病気である。

パーキンソン病は進行していく難病であり、その進行を止める薬は未だ開発されていないという事実は、残りの人生をその進行に怯えながら過ごさざるを得ないということであり、暗澹たる気持ちになりました。

しかも、薬を飲んでも振戦を止めることができない(完全にという意味)となるとこの病気にどのように向き合っていけばよいのかわからなくなりました。

パーキンソン病といえば、私の世代では元世界ヘビー級チャンピオンのモハメド・アリが不自由な身体でテレビに出ていた映像を覚えていますし、自分もいずれあのようになるのという恐怖しかありませんでした。それがいつなのかもわからないということも病気に立ち向かう気持ちを萎えさせる大きな理由です。

母を見ていると、パーキンソン病で直接死ぬことがなくても、確実に身体が動かなくなっていくことは事実ですし、それまでに新しい治療法が発明されると呑気に考えることはできない自分がいます。

個人差の大きい病であり、何らかの手を打つことによって進行を遅らせることができないのか、その模索が続くこととなりました。


2回目の診察

2回目の診察では、MIBG心筋シンチグラフィ検査を受けました。

これは、パーキンソン病では進行に応じて心臓の交感神経に障害が生じることが多いことから、放射性医薬品を静脈に注射し、心臓の交感神経の損傷具合を特殊なカメラで画像化、視覚化し、その状態を診るものです。

撮影自体には時間が掛からないのですが、午前と午後の2回検査をするので殆ど1日かかる検査でした。事前にこれほど時間がかかると聞いていなかったので、本でも持って来ればよかったかなと呑気に思ったのを覚えています。

しかも、この検査は健康保険適用になったばかりでしたが、3万円ほどかかり、これも聞いていなかったので、クレジットカードで払う羽目になりました。結果は3回目の診察時に分かるということで、2回目の診察は終わりました。

 


自分の身体に何が起こっているのか?

調べなきゃと、いろいろネット検索した結果、年齢や症状からパーキンソン病ではないかと疑いました。80歳近い母がパーキンソン病で長く治療を受けており、病院へも付き添いで何度も行っていたので神経内科が該当することはわかっていました。

近所の掛かりつけ医に相談し、医大の専門医に紹介状を書いてもらい、予約を取って診察に行くことにしました。

1回目の診察は、脳ドッグで撮ったMRI画像データを持参し、一般的な血液検査や肺のレントゲンなどと問診で終わりました。

この時点で担当医(神経内科部長・主任教授)とのやり取りでわかったことは、今の症状・時点ではパーキンソン病であると診断することは容易ではないということでした。つまり、

・手がふるえる病気はいろいろある。

・加齢によることもある。

・よく似た症状の病気にパーキンソン病症候群がある。

・いまの病状が更に進行しないと判断できない。

・パーキンソン病の薬を飲んで症状が改善すれば、パーキンソン病の可能性がある。

と言われたのです。